こちらはパン作りのときにてんさい糖を使ってパンが膨らむか、について解説する記事です。
お料理にはいつもてんさい糖を使ってるのでパン作りにも使ってみたいです
てんさい糖は身体に良いので、てんさい糖しかキッチンにないという方もいらっしゃいます。
砂糖には様々な種類がありますが、中でもてんさい糖はオリゴ糖が含まれミネラルも豊富なので好んで使われること多い砂糖です。
果たしてこのてんさい糖を使ってパン作りをして、いつも通りにパンが膨らむのか心配しますよね。
パン作り歴27年パン教室を開いて17年の講師の私が、パン作りにてんさい糖を使ってパンは膨らむかについて実験結果をもとに丁寧に説明しますね。
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パン作りにてんさい糖を使ってパンは膨らむか
パン作りにてんさい糖を使ってパンは膨らむかについては、実際にてんさい糖を使ってパンを焼いてみるのが一番良いと思い実験してみることにしました。
百聞は一見に如かず、ですね
そしててんさい糖のパンが膨らむがどうかは他の砂糖のパンと比べないとわかりませんから、上白糖のパンを同時に同じ条件で焼いて比較して判断します。
以下その実証実験の結果です。
てんさい糖のパンが膨らむかどうかの実験結果と考察は次の通りになります。
てんさい糖のパンを実際に焼いてみて膨らみ方を検証
てんさい糖を使ったパン作りでパンが膨らむかどうかを調べるために、次のベーカーズ%で上白糖のパンとてんさい糖のパンを同時に焼いてみました。
上白糖パンとてんさい糖パンの配合
上白糖のパンとてんさい糖のパンの配合は次の通りです。
材料 / パンの種類 | 上白糖のパン | てんさい糖のパン |
強力粉 | 100 | 100 |
上白糖 | 8 | ― |
てんさい糖 | ― | 8 |
イースト | 1 | 1 |
塩 | 2 | 2 |
無塩バター | 8 | 8 |
水 | 65 | 65 |
上白糖パンとてんさい糖パンの一次発酵終了時
上記の配合で上白糖のパンとてんさい糖のパンを同時にこねて、一次発酵をした結果がこちらです↓
てんさい糖の方がほんの少し膨らみ方が鈍かったですが、フィンガーテストをしてみると両者とも一次発酵は完了していましたので、てんさい糖だからと言って一次発酵が膨らまない、と言うわけではないことが判明しました。
上白糖パンとてんさい糖パンの焼成終了時
一次発酵終了後は分割、ベンチタイム、成形、と通常の工程通りに進み、二次発酵もほぼ同じくらいに膨らんだので同時にオーブンに入れて焼いてみました。
その結果はこちらです↓
てんさい糖も上白糖と同じくらいの高さのパンが焼きあがりました。
よって上白糖もてんさい糖も、オーブンに入れてから膨らむ「釜伸び」もほぼ同じくらいと言えます。
ではこのパンをカットしてみましょう。
上白糖とてんさい糖の食パンをカットしてカット面を比べてみると若干てんさい糖の方が目が粗いように感じますが、これくらいでしたら成形時の手加減の差とも思えます。
こねから焼成までの各段階で、上白糖パンもてんさい糖パンもほぼ違いは無く膨らんだパンが焼けました。
てんさい糖のパンが膨らまない時の原因
上記の実証実験から、てんさい糖のパンは上白糖のパンと遜色なく膨らむと判明しましたがてんさい糖のパンを作っていて、時には膨らまない日があるかもしれません。
その場合は、てんさい糖という砂糖の種類が原因では無く他の要因でパンが膨らまないと考えられます。
てんさい糖のパンが膨らまないのは一般的にパンが膨らまない原因と一致し、主な原因として考えられるものは次の通りです。
- 一次発酵が膨らまない・・・砂糖等が多い、イーストの入れ忘れ、イーストが古い、計量ミス、こね足りない、こね上げ温度が低い、過発酵等
- 二次発酵が膨らまない・・・一次発酵の失敗、成形の失敗、こね上げ温度が低い、過発酵等
- 焼成時に膨らまない(釜伸びしない)・・・・一次発酵・二次発酵の失敗、オーブンの温度設定の失敗等
パンが膨らまない原因は多岐に渡り、特定することはなかなか難しいので詳しくはこちら↓をご覧ください。
てんさい糖のパンが膨らまない時の対処法
てんさい糖のパンを焼いて膨らまない時の原因は多岐に渡って、なかなか特定するのが難しいということを先ほどお話しました。
ただよくある原因が
- てんさい糖の含有量が多い
- こね上げ温度が低い
などがあげられますので、これらの場合の対処法をお伝えします。
てんさい糖のパンが膨らまない時の対処法を具体的にお伝えしますね
耐糖性イーストを使う・・・てんさい糖の含有量が多いとき
てんさい糖のパンが膨らまない対処法の一つ目は耐糖性イーストを使う、です。
かと言って、いつでも耐糖性イーストを使えばいいというわけではありません。
てんさい糖のパンを焼くときに、まずてんさい糖の配合率がどれくらいあるかを確認してくださいね。
今日は、てんさい糖を15%入れるレシピでパンを焼きたいです
砂糖の配合が12%以下でしたら普通の低糖性イーストでもパンは膨らみます。
けれど砂糖の配合が12%を超えるような甘いパンを作るレシピの場合はいつも使う低糖性イーストではなかく、耐糖性イーストを使いましょう。
ショ糖の分解のスピードが遅い耐糖性イーストは低糖性イーストより膨らみがゆっくりですがイーストの効果が長く持続し、結果的にパンが膨らむのです。
てんさい糖の配合が12%超の時は耐糖性イーストを使ってくださいね。
発酵時間を延長する
てんさい糖のパンが膨らまない対処法の二つ目は、発酵時間を延長することです。
一次発酵ですか?二次発酵ですか?
一次発酵の段階でパン生地が膨らまなかったら一次発酵の時間を延長しましょう。
一次発酵で膨らまない時は、ここで発酵時間を延長して予定通りまで膨らませないとその後の成形や二次発酵にも悪影響があります。
一次発酵のは失敗は二次発酵で取り戻せません
一次発酵でパン生地が適正な大きさ(約2倍)になるまでしっかり膨らませることが、最終的にパンが膨らむ要因になります。
そして二次発酵でも膨らまない時は、二次発酵の時間も延長してくださいね。
パン作りは基本的に、イーストの入れ忘れが無ければ発酵時間を延長することでパンは膨らんできます。
なので慌ててずに発酵時間を延長することが大切です。
てんさい糖の特徴
ところで、てんさい糖と上白糖って何が違うんですか?
ではここで、てんさい糖上白糖と何が違うのかを知るために、てんさい糖の特徴について解説しますね。
てんさい糖とは
てんさい糖とは、北海道で栽培される甜菜(てんさい)という野菜から作られる砂糖のことです。
甜菜は大きなカブのような形をしていて、その17%が糖分なんですよ
上白糖はサトウキビから作られることが多いです。
てんさい糖の特徴
上白糖とてんさい糖には養分の違いが若干あり、特徴的なところはてんさい糖にはミネラル(下表の青字)が含まれていることです。
タイトル | 上白糖 | てんさい糖 |
エネルギー(Kcal) | 384 | 382 |
タンパク質(g) | 0 | 0.5 |
炭水化物(g) | 99.2 | 97.5 |
ナトリウム(mg) | 1 | 0.08~0.2 |
カルシウム(mg) | 1 | 0~2 |
カリウム(mg) | 2 | 6~55 |
マグネシウム(mg) | 0 | 0~0.2 |
リン(mg) | 0 | 0~6 |
鉄(mg) | 0 | 0~0.2 |
亜鉛(mg) | 0 | 0~0.1 |
オリゴ糖(g) | 0 | 5 |
このミネラルはパンの発酵を阻害する要素ではあるのですが先の実証実感の結果、上白糖もてんさい糖もパンの膨らみ方にほとんど差はありませんでした。
したがって、てんさい糖に含まれるミネラルはパンの発酵を妨げるほどの量では無い、と言えます。
また、てんさい糖には次のような特徴があります。
特徴 | 効果 |
ミネラルが多い | 基礎代謝、新陳代謝、エネルギー代謝が上がる |
天然のオリゴ糖が含まれている | 腸内にビフィズス菌が増え便秘・下痢が改善される |
低GIである | 血糖値の上昇が緩やなので、血糖値が気になる方にはおすすめできる |
ほとんどが北海道産 | 国内産なので安心できる |
甘さがまろやかでコクがある | パン作りの他お菓子作り、お料理にも幅広く使える |
良いこと尽くしですね
デメリットもありますよ。てんさい糖には色が付いているので真っ白に仕上げたいメレンゲ菓子などには向かないです。
でも、パン作りでは色の違いはほとんど気になりません。
てんさい糖をパン作りに使ってパンは膨らむか?
てんさい糖は、体に良いと言われているので、好んで使われる方も多いようです。
パン作りにてんさい糖を使って膨らむかどうか心配される方もいらっしゃるので、実際に上白糖の代わりにてんさい糖を使ってパンを焼いてみました。
実験の結果、てんさい糖のパンも上白糖のパンと遜色なく膨らむことが判明しました。
てんさい糖を愛用されている方もいらっしゃると思います。
パン作りでも自信をもっててんさい糖を使ってくださいね。
ただし、てんさい糖のベーカーズ%が12%を超える場合は耐糖性イーストを使った方がパンは十分膨らみます。
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