こちらは、オリゴ糖でパン作りができるかをご説明する記事です。
オリゴ糖は低カロリーだしおなかにも良いからパン作りで使ってみたいわ
オリゴ糖は美容にも良いというイメージがありますものね。
オリゴ糖でパンを作れるか、実際にパンを作ってみましょう。
同時にいつもの砂糖のパンも焼いてみて、オリゴ糖のパンの膨らみや味が砂糖のパンと比較してどう違うかを調べてみました。
パン作り歴27年、パン教室を主宰して17年の講師の私が、オリゴ糖でパン作りができるかについて詳しくお伝えしますね。
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オリゴ糖でパン作りをした実験結果
オリゴ糖でパン作りをした実験では同時に4種類の食パンを焼いてその比較をしてみましょう。
比較は次のそれぞれの段階で行います。
- レシピの配合
- 一次発酵
- 二次発酵
- 焼成
- 味
レシピの配合
オリゴ糖でパン作りをした実験のレシピの配合については次の通りです。
上白糖10% (低糖性イースト) | オリゴ糖10% (低糖性イーースト) | オリゴ糖20% (低糖性イースト) | オリゴ糖20% (耐糖性イースト) | |
強力粉 | 100 | 100 | 100 | 100 |
イースト | 1 | 1 | 1 | 1 |
塩 | 2 | 2 | 2 | 2 |
砂糖 | 10 | ― | ― | ― |
オリゴ糖 | ― | 10 | 20 | 20 |
無塩バター | 7 | 7 | 7 | 7 |
水 | 65 | 65-10×2.5=62.5 | 65-20×2.5=60 | 65-20×2.5=60 |
オリゴ糖は砂糖に比べるとカロリーは半分ですが、甘味も薄く砂糖の30~50%の甘味しか感じられません。
砂糖と同じ甘さにしたいです
オリゴ糖で砂糖と同じ甘さを求めるならばオリゴ糖を砂糖の倍以上の分量を使う必要があります。
そうするとオリゴ糖は低カロリーというメリットは無くなりますがおなかに優しいというメリットは残りますので、砂糖の倍量のオリゴ糖を使って甘味も感じられるパンを焼いてみましょう。
また、その場合は糖分が高い配合になりますので、パンが糖分で膨らまない可能性があるので、耐糖性イーストを使ったパンも焼いていみたいと思います。
またオリゴ糖は粉末とシロップの2タイプがありますが、市場に出回っている多くのものはシロップタイプが多いようです。
実験もシロップタイプのオリゴ糖を使います。
シロップのオリゴ糖は25%が水分です
よって、レシピの配合では、オリゴ糖の重さの25%分の水を減らして作ります。
一次発酵
オリゴ糖でパン作りをする実験をした結果、一次発酵は次の画像の通りです。
一次発酵の見極めは砂糖のパンのベストの状態に合わせて時間を区切りました。
意外なことに、砂糖と同じ分量を使ったオリゴ糖が発酵が早く、砂糖のパンよりも膨らみました。が、過発酵というところまでは行っていないです。
オリゴ糖20%・低糖性イーストだと膨らみが悪いですね
そうですね、オリゴ糖も糖ですから12%以上の配合率だと発酵を阻害してしまいますので、そのような時は耐糖性イーストを使うと良いでしょう。
上の画像の一番右側が、オリゴ糖20%・耐糖性イーストのものですが、ちょうどよい状態で一次発酵が終了しています。
二次発酵
オリゴ糖でパン作りをする実験をした結果、二次発酵は次の画像の通りです。
二次発酵の見極めは、一次発酵と同様砂糖のパンのベストの状態に合わせて時間を区切りました。
オリゴ糖10%で低糖性イーストのパンは、砂糖のパンよりほんの少し膨らみが大きくなりました。
オリゴ糖20%、低糖性イーストはあまり膨らんでいないですね
そうですね、一次発酵が発酵不足のまま焼成に入ったせいもあるのでしょうけれど、多すぎるオリゴ糖が釜伸びする力も抑えているかもしれません。
これに対して、オリゴ糖20%でも耐糖性イーストを使ったパンは砂糖のパンと同じくらいに二次発酵も進んでいます。
さあ、このパンを同時に焼いてみましょう!
焼成
オリゴ糖でパン作りをする実験をした結果、焼成終了時は次の画像の通りです。
焼成終了時の膨らみ加減は、二次発酵の膨らみがそのまま焼き上がりの状態に反映しているように見えます。
オリゴ糖10%・低糖性イーストが一番膨らんでいないですね
そうですね。それ以外の砂糖、オリゴ糖10%低糖性イースト、オリゴ糖20%耐糖性イーストのパンは3つともほぼ同じくらいの高さに膨らみました。
焼き色を見ると、オリゴ糖10% ・低糖性イーストのパン一つだけが薄い色になっています。
これは、このパンは一次発酵から他より抜きんでて発酵が進んでいたので、焼成時点では糖分を使い切ってしまったのかもしれません。
パンに美味しい焼き色が付くのは、糖分によるメイラード反応という化学反応によるものなので糖分が少ないとメイラード反応が起きにくいのです。
味
オリゴ糖でパン作りをする実験をした結果、パンの味に違いはあるのか食べ比べてみました。
オリゴ糖10%低糖性イーストのパンは
甘味を感じません
そもそもオリゴ糖の甘味は砂糖の半分以下、と言われていますからね。
更に焼成時に色があまり付かなかったことを考えると、焼成までの間にかなりのオリゴ糖の糖分を使い切っているので、パンに糖分が残っていないため甘味が無くなったものと推測されます。
オリゴ糖20% 低糖性イーストのパンは
甘みはあるのですがズッシリした食感です
パンが膨らんでいない分、内層の目が詰んで気泡が小さいためズッシリした印象があると思います。
また、砂糖の倍量のオリゴ糖を入れているので理論的にはこれで砂糖の甘さに匹敵する糖分が投入されています。
一次発酵・仕上げ発酵であまり膨らまなかった分糖分の消費も少なかったかもしれません。
オリゴ糖20% 耐糖性イーストのパンは
甘みもありふわふわ感もあります。
砂糖のパンにもっとも近いお味がこのタイプです。
ただオリゴ糖を倍量入れているためカロリーは砂糖と同じくらいになるので、ダイエット効果はありません。
オリゴ糖
では最後にオリゴ糖とは何なのか、理論的なご説明をしたいと思います。
- オリゴ糖とは
- オリゴ糖を使うメリット
- オリゴ糖を使うデメリット
オリゴ糖とは
オリゴ糖とは単糖が2~10個ほど結合した糖のことです。
オリゴ糖の種類は多く、代表的なものには「フラクトオリゴ糖」「ガラクトオリゴ糖」「大豆オリゴ糖」「イソマルトオリゴ糖」「ラフィノース」などがよく知られています。
またオリゴ糖には「消化性」と「難消化性」があります。
メリット
オリゴ糖を摂取するメリットは次の通りです。
- 低カロリーなので太りにくい
- 難消化性のオリゴ糖はおなかの調子をととのえ、便秘改善、ミネラルの吸収率がアップする
パンにオリゴ糖を使ってもメリットはあるんですか?
2~3時間を超えて加熱するような煮込み料理や、ジャム作りのように酸のあるものと一緒に加熱する料理にオリゴ糖を使うと、その段階でオリゴ糖が分解されて整腸効果がなくなってしまいます。
パン作りはそのようなことがないのでメリットは生かされたままです。
デメリット
オリゴ糖を摂取するデメリットは次の通りです。
- 甘味が少ないため、つい摂取量が増えてカロリー過多となりやすい
- 砂糖と比べて高価
オリゴ糖を使うと安心感がありますが、使い過ぎに気を付けましょう。
オリゴ糖のメリットを生かしたパン作りを
オリゴ糖をパン作りに使えるか否か、についてご説明をしてきました。
オリゴ糖はパン作りに使えますよ
パンはしっかり膨らみますし、オリゴ糖のメリットである整腸作用も薄れずにメリットが発揮できます。
ただ、オリゴ糖の甘味は同量の砂糖と比べた場合3~5割と言われていて砂糖の同僚と置き換えた場合、甘味が薄く感じられます。
カロリーは砂糖の半分ですので仮に甘味を感じたくてオリゴ糖を倍量に増やした場合、甘味は感じるようになりますが同時にカロリーが倍になって砂糖と変わらなくなってしまうのです。
よって、オリゴ糖に低カロリーかつ整腸作用を求める場合は、使い過ぎに気を付けてくださいね。
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