こちらは砂糖を入れないパンが膨らまない原因と対処法について説明する記事です。
砂糖を入れないパンを作ったらあまり膨らみませんでした
そうですね、砂糖を入れないパンは確かに膨らみにくいものです。
それには明白な理由がありますがその対処法もありますので、理解を深めて今度は砂糖を入れなくても膨らむパンを作りましょう。
もし、今まさに砂糖を入れないパンを作っていて膨らまずにお困りの方は対処法のところをご覧くださいね。
パン作り歴27年、パン教室を主宰して17年の講師の私が、砂糖を入れないパンが膨らまない原因とその対処法についてお伝えしますね。
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砂糖を入れないパンが膨らまない原因
砂糖を入れないパンが膨らまない原因とその説明は次の通りです。
砂糖を入れないパンが膨らまない原因
砂糖を入れないパンが膨らまない原因はイーストの栄養分が少ないためです。
イーストに栄養が要るってどういうことですか?
そうですよね、わかりにくいですよね。
ではそれを説明するにはちょっと発酵のメカニズムについてお話する必要がありますのでパン作り初心者の方に向けてわかりやすく説明をしますね。
ここは知らなくても大丈夫なところなので、お急ぎの方は対処法に進みましょう。
発酵のメカニズム
イーストによるパンの発酵のメカニズムを簡単に表した図は次の通りです。
パン作りの主な材料は上の図のピンク色の文字で示した
- イースト
- 小麦粉
- 砂糖
- 水
- 塩
の5点です。
この5つの材料をこねて発酵して焼けばパンはできます。
この発酵の時イーストは生き物なので、発酵という活動をするためには「栄養」が必要なんです。
そしてそのイーストの栄養はなんでもよい、というわけではなく、上の図の青字で書いた「ブドウ糖」や「果糖」でなければなりません。
わかりました!
そのブドウ糖と果糖の素が砂糖なんですね!
その通りです。
でも、パン作りに砂糖は無くてもパンはできるのです。
砂糖が無いとブドウ糖も果糖も存在しないじゃないですか
実は小麦粉に含まれる成分の「でんぷん」はイーストと水と混ざると「麦芽糖」に変異して最終的に一部は「ブドウ糖」になるので、イーストの栄養分になります。
こうして「ブドウ糖」や「果糖」を栄養にしたイーストがパン生地を発酵させることでパンは膨らむのです。
砂糖を入れなくてもパンは膨らむ
よって発酵という工程にはブドウ糖や果糖が必要なのですが、砂糖が無くてもパンが膨らむのは、小麦粉の中のでんぷんがブドウ糖に変化するためです。
砂糖を入れなくてもパンは膨らむのに、なぜ私は失敗したんですか?
砂糖が無くてもパンは膨らみますよ。
膨らみますが、砂糖を入れる時に比べて圧倒的にブドウ糖と果糖が少なく、発酵のための栄養が足りないので膨らみにくいのです。
砂糖を入れないパンが膨らまない対処法
砂糖を入れないパンが膨らまない対処法は次のとおりです。
砂糖を入れないパンが膨らまない対処法は次の通りになります。
発酵時間を伸ばす
砂糖を入れないパンが膨らまない対処法は発酵時間を伸ばすです。
砂糖を入れないパンはイーストの栄養分が少ないのでなかなか発酵しませんが、発酵時間を延長してリカバリーできる場合があります。
レシピ通りの発酵時間で切り上げるのでなく、発酵の状態を見ながら時間を延長しましょう。
モルトを入れる
砂糖を入れないパンが膨らまない時のもう一つの対処法はモルトを入れる、です。
モルト、ってビールでは聞いたことあるけど・・一体なんですか?
そうですね、モルトについて説明しましょう。
モルトの説明と使用量の目安
モルトとは、大麦を発芽させた「麦芽」で、粉末のモルトパウダーと液体のモルトシロップの2つのタイプがあります。
精製方法 | 使われる場所 | 使用量の目安 | |
モルトパウダー | 麦芽乾燥させて粉砕 | 家庭で使われることが多い | 粉の0.1~0.3% |
モルトシロップ(モルトエキス) | 粉砕した麦芽に水を加えて煮だし麦芽糖を抽出した液体 | ベーカリーで使われることが多い | 粉の0.5% |
ベーカリーではシロップ、家庭では粉、ってどうしてですか?
モルトの使用量の目安をご覧ください。ほんの少しでしょう?
モルトシロップは粘りがあるので極少量を計りずらいので、家庭では計量しやすい粉の方が向いています。
ベーカリーではモルトもたくさん消費するので、シロップでも計量できます。
ちなみにモルトの粉よりシロップの方が実は効果が出やすく、賞味期限も長いので業務用に適しているんです。
モルトの効果
モルトの効果は次の通りです。
発酵を助ける
モルトを入れるとパン生地の発酵を手助けしてくれるので、砂糖を入れないパンでも膨らんでくるのです。
モルトは麦芽から作りますが、この麦芽にアミラーゼという酵素が入っていて、小麦粉のでんぷんを分解して麦芽糖やブドウ糖にしてくれるのです。
イーストはブドウ糖を栄養にして発酵しますからね
パン生地の伸展性をよくする
またモルトの中のプロテアーゼという酵素がタンパク質を分解するのでパン生地の伸展性が良くなり、成形もしやすくなり結果的にパンもよく膨らみます。
パンの焼き色をよくする
モルトの中の麦芽糖は、パンの発酵を終えてもまだパン生地の中にそれが残っていて、パンを焼いたときにこの麦芽糖がメイラード反応を起こして 美味しそうな茶褐色にパンが色づくのです。
モルトを入れない砂糖の無いパンは焼き色が付きにくいですよ。
パンの風味をよくする
麦芽糖のメイラード反応はパンに焼き色を付けるだけでなく、香ばしい香りもつけてくれパンの風味を良くしてくれます。
メイラード反応はパンの色も風味もよくしてくれます
以上のような効果が望まれるので、砂糖を入れないパンを膨らませるのはモルトを入れるのが効果的です。
モルトは砂糖の代わりになっても、砂糖はモルトの代わりになれません
砂糖を入れないパンが膨らまない原因と対処法についてご説明をしてきました。
砂糖を入れないパンが膨らまないのは、発酵に使うイーストの栄養が無いためです。
砂糖はイーストの栄養にもなりますからね
そのための対処法としては次の2つです。
①発酵時間を延長する
②次回以降はモルトを入れる
モルトは無くてもパンは焼けますが、発酵を助ける他にも風味や焼き色をよくするなど、様々な効果がありますので砂糖を入れないパンを作る時はお使いになるのをおすすめします。
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