【講師が解説】黒糖パンが膨らまない原因と対処法

こちらは黒糖パンが膨らまない原因と対処法についてお伝えする記事です。

YUKAさん
YUKAさん

黒糖パンを作っているんですけど全然発酵してこないんです

そうですね、確かに黒糖パンは発酵に時間がかかります。

黒糖パンがなかなか膨らまない原因はありますし、その対処法もあります。

今黒糖パンを作っていてパンが発酵しなくて焦っている方も、次回の黒糖パンは絶対に膨らませようと思っている方も、こちらの記事を読んで膨らむ黒糖パンを作ってくださいね。

パン作り歴27年、パン教室を主宰して17年の講師の私が、黒糖パンが膨らまない原因と対処法についてわかりやすく解説します。

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目次

黒糖パンが膨らまない原因

黒糖パンを焼いてカットした断面

黒糖パンは確かに発酵がゆっくりでなかなか気を使いながら作るパンではあるのですが、私は最終的には必ず膨らんだ黒糖パンを焼けています。

黒糖パンの膨らみ方を検証するために、3本の食パンを比較しながら実際に焼いて、膨らまない原因を探ってみましょう。

黒糖パンを実際に焼いて膨らみ方を検証

次の3本とも、同じ発酵時間・焼成時間で焼いています

まりな先生
まりな先生

黒糖パンは、黒糖の配合を多めにしないと黒糖の風味を感じられないため黒糖を20%以上入れるレシピが多いので、次の配合で焼きました。

材料 / パンの種類 上白糖・低糖性イーストの食パン② 黒糖・低糖性イーストの食パン 黒糖・耐糖性イーストの食パン
強力粉100 %100 %100 %
上白糖 20 %
黒砂糖 20 %20 %
低糖性イースト2 %2 % ―
耐糖性イースト2 %
2 %2 %2 %
67 %67 %67 %

上記の配合で同じ時間を発酵させて同じ時間を焼成したパンがこちら↓です。

黒糖パンが膨らまない、を実証するために上白糖パンと黒糖パンを焼き比べた結果の画像

上のパンをカットしてみると

黒糖パンが膨らまないか、を実証するために上白糖パンと黒糖パンを焼き比べ、焼き上がったパンをカットした断面の画像

いずれもこね上げ温度は28℃ですので同じ条件下でのパン作りになります。

低糖性イーストを使って焼いた食パンは、①上白糖も②黒砂糖も非常に発酵が遅くなかなか膨らみませんでした。

が、①上白糖②黒砂糖のパンの膨らみの差はほとんどありません。

YUKAさん
YUKAさん

本当!①も②も膨らみはほとんど変わらないですね

一方耐糖性イーストを使った③黒糖食パンは発酵が順調に進みました。

膨らみの差はイーストの差です

まりな先生
まりな先生

黒糖パンが膨らまない原因

黒糖パンを焼いてカットした断面の画像

成分上は黒糖には20%も糖分(ショ糖)以外のものが含まれているので、理論的には上白糖よりパンは膨らみにくいと言えます。

砂糖は約100%が糖分、
黒糖は約80%が糖分です

まりな先生
まりな先生

当然、100%が糖分の上白糖の方が80%の黒糖よりパンは膨らみやすいはずです。

けれど実際にパンを焼き比べてみると、砂糖の種類以外のものをすべて同じ条件にした場合、上白糖も黒糖も膨らみにほとんど差はありませんでした。

この結果から推測できるのは、上白糖と黒糖の成分上の差はあっても、それがパンの膨らみに影響を及ぼすほどの差ではないということです。

よって黒糖パンが膨らまないと思われているのは、黒糖が原因で膨らまないではなく、砂糖の量が多いために発酵が遅いため、と考えられます。

黒糖パンは、黒糖の量が少ないと全く黒糖の風味が無くなってしまうので、比較的黒糖の配合を多くしますからね。

YUKAさん
YUKAさん

確かに20%入れてもあまり黒糖の味がしません

そうなんです。

なのでせっかく黒糖パンを作る、と思うとやはり最低でも20%くらい入れたくなりますよね。

でも、この20%の糖分は、パン作りにとっては砂糖の配合が多い方でいつも皆様が使う低糖性イーストではなかなか膨らんできません。

砂糖が多いパンが膨らまない原因についてはこちらで詳しく説明しています↓

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黒糖パンが膨らまない時の対処法

黒糖パンは膨らまないか、を実験するために焼いたパンをカットした断面の画像

砂糖の分量に原因があるとしても黒糖パンが膨らまない事実はあるので、その対処法をお伝えしたいと思います。

黒糖パンが膨らまない時の対処法は次の4つです。

黒砂糖は仕込み水に溶かしてから使う

黒糖パンが膨らまない時の対処法の一つ目は黒砂糖は仕込み水に溶かしてから使う、です。

上白糖と黒糖のちがいを比較するための現物の画像
上白糖と粒子の細かい黒糖

黒砂糖にもいろいろな種類がありますが、上白糖と違って溶けにくいという特性があります。

特に塊りになってる黒砂糖は溶けにくいです

まりな先生
まりな先生

パン生地をこねていても黒砂糖が残ってしまうとパンが膨らみにくくなるので、黒砂糖は仕込み水に溶かして使うと良いですね。

仕込み水に溶かしても溶けきれない場合は仕込み水ごとレンジで温めるなど熱を加えて溶かし、冷ましてから使いましょう。

黒糖パンが膨らまない、を実証するために上白糖パンと黒糖パンをそれぞれこねて、一次発酵に入る前の画像
上白糖と黒糖を同じ条件で使ってパン生地をこねあげて、一次発酵を開始したところ

こね上げた感じは黒糖の方が上白糖よりも柔らかくべたべたとした感じがあります。

発酵時間を延長する

黒糖パンが膨らまない時の対処法のつ二つ目は発酵時間を延長する、です。

ほとんどの黒糖パンが砂糖の配合を多いため膨らみにくくなりますが、発酵時間を延長すれば膨らみはある程度リカバリーできます。

YUKAさん
YUKAさん

どれくらい延長すればよいですか?

パンの状況次第ですが、一次発酵は元の大きさの約2倍になるまでじっくり待ちましょう。仮に60分の予定であれば90分以上かかるかもしれません。

時間がかかっても一次発酵をじっくり待って、フィンガーテストがOKになる段階までしっかりと一次発酵の時間を取ってくださいね。

一次発酵を終えたものがこちら↓です

まりな先生
まりな先生
黒糖パンが膨らまない、を実証するために上白糖パンと黒糖パンをそれぞれこねて、一次発酵終了時点の画像
上白糖と黒糖を同じ条件でパン作りに使って一次発酵を終えたところ

上の写真は上白糖も黒糖も低糖性イーストを使い、発酵時間を延長して一次発酵を終えたところです。

黒糖パンはこね上がった段階で上白糖のパンより生地が柔らかくこね上がるため、一次発酵終了後も生地が横に広がっている印象があります。

が、上白糖も黒糖も一次発酵の膨らみはさほど変わりません。

黒糖パンを焼くときは一次発酵も二次発酵も、発酵時間を延長しましょう。

一次発酵の途中でパンチをする

黒糖パンが膨らまない時の対処法の三つ目は一次発酵の途中でパンチをするです。

一次発酵の途中でパンチをすると発酵が促進される効果があり、またグルテンが強化されるのです。

黒糖を使うとパン生地は上白糖の時よりも柔らかくこね上がり、緩んでいる印象があり一次発酵もどちらかというと上に伸びるより横に広がりやすくなります。

パンチをすることで、発酵の促進とグルテンの強化でパンは膨らみやすくなるのです。

耐糖性イーストを使う

黒糖パンが膨らまない時の対処法の四つ目は耐糖性イーストを使うです。

普通のイーストは砂糖の分量が多いとパンが膨らみにくくなるのですが、耐糖性イーストは砂糖が多くてもパンがしっかり膨らみます。

YUKAさん
YUKAさん

砂糖が多いとなぜパン生地が膨らまなくなるんですか?

青菜に塩を掛けると青菜から水が出てしんなりするでしょう?

それは浸透圧による影響なのですが、それと同じことが砂糖にも言えるのです。

多くの砂糖がイーストに触れると浸透圧の関係でイーストから水がでてイーストの元気がなくなって働きがにぶくなり、その結果パンが膨らみにくくなります。

黒糖パンが膨らまない対処法を探るために上白糖パンと黒糖パン、そして耐糖性イーストを使った黒糖パンをそれぞれこねて、一次発酵終了時点に比べる画像
低糖性イーストと耐糖性イーストの黒糖パンの一次発酵の違い

これに対して耐糖性イーストはそのようなことがないので、砂糖の配合が多いままで発酵時間の延長をしなくてもパンはちゃんと膨らんできます。

黒糖パンを焼くときは、耐糖性イーストを使うとパンが膨らみます。

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市販の黒糖パンの方が黒糖の味が強い理由

黒糖パンをカットした断面の画像
YUKAさん
YUKAさん

黒糖パン焼いても市販の黒糖パンほど黒糖の味がしない気がします・・・

そうですね、市販の黒糖パンは黒糖の味が強いですね。

それには理由があります。

実は市販の黒糖パンの多くは、黒糖をあまり使わず代わりにカラメル色素で色を付け、黒糖フレーバーを添加して黒糖の風味を感じるように作っています。

その方が黒糖の味を感じやすいのです

まりな先生
まりな先生

なので、黒糖の味を強くしようと思って黒糖の配合を増やしても膨らみがより一層悪くなるばかりで、黒糖の味が非常に強くなるわけではありません。

せっかくの手作りパンですから添加物を入れるのではなく、黒糖を使って自然の甘味を楽しまれるとよいですね。

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黒糖の特徴

YUKAさん
YUKAさん

ところで黒糖と上白糖は何が違うんですか?

そうですね、では最後に黒糖と上白糖の違いについてお伝えしましょう。

黒糖の特徴は次の2つです。

黒砂糖の特徴は次のとおりになります。

黒砂糖は精製されていない

黒砂糖の特徴の一つ目は黒砂糖は上白糖と違い精製されていません

黒砂糖は原材料のサトウキビを絞った後、絞り汁を煮詰めて固めて作ります。

一方私たちが日常的に使う上白糖はサトウキビを絞った後に精製して不純物を取り除いて結晶化させて作るのです。

よって黒砂糖は精製されていないために、ショ糖と呼ばれる純然たる糖分は約80%で他の20%は糖分以外の物になります。

ショ糖が98%の上白糖に比べると実質20%近く糖分が少ないのです。

よって20gの黒砂糖を使っても実質の砂糖は16gとなるため、黒砂糖の配合を多めにしないと甘みが感じにくく、そのために黒糖パンの多くのレシピは黒砂糖が20%を超えています。

黒砂糖にはミネラルが多い

黒砂糖は精製されていない分ミネラルが除去されていないのでその成分に豊富にミネラルが含まれます

ミネラルは、パン生地を引き締めてしまうのでパンが膨らみにくいと言われているのです。

ですが、実際に黒糖パンを焼いた結果、黒糖パンも上白糖パンもさほど発酵のスピードに差が無いことから、黒砂糖にミネラルが多めに含まれていても、その量は発酵のスピードを左右するほどの量ではないと思われます。

ちなみにミネラルとはカリウム、ナトリウム、カルシウムやリン、鉄、亜鉛、などで、下の表の青字の部分になります。

成分 / 砂糖の種類黒砂糖上白糖
マグネシウム1mg微量
リン31mg微量
4.7mg微量
亜鉛2.12ppm0
カリウム1100mg2mg
カルシウム240mg1mg
ナトリウム240mg1mg
オリゴ糖00
炭水化物89.7g99.2g
カロリー352Kcal384Kcal
黒砂糖と上白糖の成分の違い
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黒糖パンは耐糖性イーストを使いましょう

黒糖パンは膨らまない、とよく言われます。

実際に焼き比べてみると

黒糖パンが膨らまないか、を実証するために上白糖パンと黒糖パンを焼き比べ、焼き上がったパンをカットした断面の画像
上白糖20%黒糖20%の配合の食パンの焼き比べ結果

このような結果になり、黒糖パンが膨らまないのは黒糖が原因ではなく砂糖の配合が多いために膨らまない、と推測できます。

よって黒糖パンを膨らませて焼くには、発酵時間を延長するかあるいは耐糖性イーストを使うなどの対処が必要となります。

発酵延長もなかなか時間が定まらないので、可能ならば耐糖性イーストをお使いになる方がストレスなく膨らむ黒糖パンを焼けると思います。

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