こちらはパン作りに三温糖を使う場合、パンが膨らむか否かを解説する記事です。
パン作りで上白糖の代わりに三温糖を使ってパンは膨らみますか?
そうですね、いつもの上白糖の代わりに三温糖を使いたいけれど・・・パンが膨らむかちょっと心配ですよね。
今回は三温糖がパン作りの膨らみにどのような影響を及ぼすか、実際にパンを焼いて調べてみました。
パン作り歴27年、パン教室を主宰して17年の講師の私が三温糖のパンは膨らまないかについて解説します。
本記事はアフェリエイト広告を利用しています。
三温糖のパンが膨らまないかを実証実験
三温糖のパンが膨らむかどうかを調べるために実際に三温糖のパンを焼いてみました。
以下その実験結果です。
三温糖パンを実際に焼いて膨らみ方を検証
三温糖のパンが膨らむか否か、実際に三温糖を使ってパンを焼いてみました。
上白糖と比較をしないと三温糖パンの膨らみ加減がわかりませんので、同じ条件で同時に上白糖のパンも焼いて比較してみましょう。
この時のベーカーズ%の配合は次の通りです。
タイトル | 上白糖パン(%) | 三温糖パン(%) |
強力粉 | 100 | 100 |
上白糖 | 15 | ― |
三温糖 | ― | 15 |
塩 | 2 | 2 |
イースト | 1 | 1 |
水 | 63 | 63 |
無塩バター | 7 | 7 |
この配合でパンをこね、こね上げ温度は上白糖パンも三温糖パンも28℃です。
一次発酵をした結果、2つのパンの膨らみ方を比較してみると次のようになりました。
上白糖パンも三温糖パンも一次発酵の膨らみに差は出ませんでした。
そしてこの後、分割→ベンチタイム→成形と差は無く進み、焼成は次のような結果です。
食パンを同時に同じ条件下で焼いて、上白糖と三温糖の食パンに差はなく同じように膨らんでいます。
ではカットしてみましょう。
カットしてみても上白糖と三温糖の差はありませんでした。
味はどうなんですか?
上白糖と三温糖は砂糖単体で比べると色も香りも違いますよね。
けれど食パンの材料に使ってみて、味を比べても正直なところ味の差を感じませんでした。
上白糖と三温糖の食パンをシャッフルしてどちらが上白糖でどちらが三温糖か当ててください、と言われても多分わからないです。
2回同じ実験をしましたが、2回とも同じ結果になりましたので、上白糖と三温糖のパンの膨らみに差はないと言ってよいと思います。
三温糖パンが膨らまない時の原因
このように上白糖パンと三温糖パンを比べた場合膨らみに差はないと言えますが、三温糖の食パンの発酵がなかなか進まないと感じる時があるかもしれません。
それはおそらく三温糖が原因では無く他の要素が原因と思われます。
例えばどんな原因があるんですか?
- 砂糖の配合が多い
- こね不足
- こね上げ温度が低い
- イーストが古い
などがパンが膨らまないよくある原因として考えられます。
これらが原因の時は一時発酵の段階からパン生地が膨らみにくいです。
詳しくはこちらの記事をご覧くださいね
三温糖パンが膨らまない時の対処法
三温糖のパンを作って膨らまないわ、と感じた時その原因は三温糖にあるのではなく、他に原因があると前述しましたが、ではそのような時はどのような対処法があるかをお話したいと思います。
耐糖性イーストを使う
こちらはまだパンをこねる前の段階での対処法になりますが、三温糖パンが膨らまない時の対処法の一つ目は耐糖性イーストを使う、です。
耐糖性イーストって何ですか?
耐糖性イーストは糖分の多いパンでも発酵力が落ちないイーストを言います。
一般的に流通している耐糖性イーストの代表的なものにフランスのルサッフル社の耐糖性イースト(通称金サフ…パッケージが金色であることからそう呼ばれる)があります。
普段使われる低糖性イーストは砂糖の配合が12%以上になるとパンが膨らみにくくなってきますが、耐糖性イーストは、砂糖の配合が多くてもパンは膨らむのです。
ほんのり甘いパンを焼くときは砂糖の配合は15%前後ありますので、レシピの配合率を見て砂糖が12%以上でしたら耐糖性イーストを使うとパンは膨らみやすくなります。
じゃあ、いつでも耐糖性イーストにすれば安心じゃないですか
いいえ耐糖性イーストは5%以上の砂糖が入っていないと膨らみませんので、砂糖が5%未満の時は低糖性イーストを使わなければなりません。
なので砂糖の配合率によってイーストの使い分けが必要です。
発酵時間を延長する
三温糖パンをこねて現在発酵しているのだけれどなかなか膨らんでこないときの対処法としては発酵時間を延長する、になります。
イーストの入れ忘れさえなければ、基本的には時間をかければパンは膨らんできます。
イーストを入れ忘れると発酵時間を延長しても膨らみません
砂糖の配合が多いパンに低糖性イーストを使ってなかなか膨らんでこないとしても、発酵時間を延長すればなんとかなりますよ。
ここで大切なのは一次発酵を十分に発酵させることです。
一次発酵が不十分だとその後の二次発酵もかなり膨らみにくくなります。
一次発酵の失敗を二次発酵で取り戻すのはかなり難しいのです。
三温糖パンが膨らまない時は発酵時間を延長しましょう。
三温糖の特徴
三温糖と上白糖って何が違うんですか?
そうですよね、それでは最後に上白糖と三温糖の違いについてご説明させていただきますね。
三温糖が作られる工程を簡単に表すと次のようになります↓
上白糖も三温糖も原料となるものはサトウキビ(またはテンサイ)です。
上白糖は原料を圧縮して抽出した汁を加熱した後に不純物とミネラルを取り除いて作られます。
三温糖は上白糖を結晶化して取り出したあとの糖液を再度煮詰めて結晶化させて作るのです。
三温糖は茶色っぽいですよね?
煮詰める時カラメル化したために三温糖には色が付いているのです。
三温糖は、茶色であることそしてコクがあって甘みも強いことから煮物・照り焼き・佃煮によく使われます。
三温糖パンを膨らませて焼くためには
パン作りに上白糖の代わりに三温糖を使うときパンが膨らまなくなるのではないか、とちょっと心配ですよね。
三温糖も上白糖も原料は同じサトウキビを使ったもので精製された糖分で成分的にはほとんど差がないため、論理的には膨らみに差が出ないはずです。
実際に三温糖と上白糖を使ってパンを焼いてその膨らみの差を調べてみました。
どちらも膨らみに差は無く、三温糖でも上白糖と同じようにパンが膨らむことがわかりました。
三温糖を使ったパンが膨らまないとしたら、砂糖以外の事象が原因と考えられます。
いずれにしろ、イーストの入れ忘れが無ければ発酵時間を延長することでかなり復活できてパンは膨らんできますので、一次発酵の時にしっかりと三温糖のパン生地を膨らませてあげましょう。
そうすることによって二次発酵もしっかり膨らんで美味しい三温糖パンを焼けますよ。
コメント