パルスイートのパンが膨らまない原因と対処法を講師が解説

こちらはパルスイートのパンが膨らまない原因と対処法についてご説明する記事になります。

糖類やカロリーを気にする方にとってパルスイートで作るパンが膨らんだら嬉しいですよね。

でも、パルスイートをパン作りに使うとパンが膨らみにくいと言われています。

そこで実際にパルスイートのパンを焼いてどの程度膨らまないのかを調べ、膨らまない原因と対処法を探ってみました。

パン作り歴27年パン教室を主宰して17年の私がパルスイートのパンが膨らまない原因と対処法についてお伝えしますね。

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パルスイートを使ったパンは膨らまないか実証実験

ではまずパルスイートを使ったパンがどれくらい膨らまないのかを調べるために実際にパルスイートのパンを焼いて実験してみます。

パルスイートのパンは膨らまないか、実験内容は次の通りです。

パルスイートのパンが膨らまないと言われている以上、何等かの対処をしたいので、考えられる対処法として次の２つを想定して同時にその対処を施したパンも焼いてみます。

パルスイートのパンは膨らまないかの実験内容は次の通りになります。

レシピの配合

パルスイートのパンは膨らまないかの実験のレシピ配合については次の通りです。

（単位：ベーカーズ％）

材料 / パンの種類	A <参考＞上白糖10％	①パルスイート2.5％	②③パルスイート2.5％　　※
	モルト無	モルト有	モルト無
強力粉	100	100	100
イースト	1	1	1
塩	2	2	2
砂糖	10	0	0
パルスイート	0	2.5	2.5
モルト	0	0.3	0
無塩バター	7	7	7
水	65	65	65

※パルスイート2.5％の生地（モルト無）が発酵延長の有無でどう変わるかを調べるため、同じ生地を2つに分けて②と③とします

一次発酵

パルスイートのパンは膨らまないかの実験をした結果、一次発酵の段階ではつぎのような結果になりました。

一番膨らみが良かったのは①モルト有のパルスイートの生地です。

②③のモルト無のパルスイートの生地はAの砂糖のパン（モルト無）に比べて膨らんでいません。

次に分割・ベンチタイム、成形へと全部同時に進み、二次発酵をします。

二次発酵

パルスイートのパンは膨らまないかの実験をした結果、二次発酵の段階ではつぎのような結果になりました。

二次発酵の膨らみ具合も一次発酵と同じ結果になりました。

一番膨らみが良いのは①モルト有のパルスイートの生地です。

②③のモルト無のパルスイートの生地はAの砂糖のパン（モルト無）よりも膨らんでいません。

ではこのあと、発酵時間の延長の影響を調べるため、Aと③はすぐにオーブンに入れ、①は５分②は10分間発酵を延長をしてから焼いてみましょう。

焼成

パルスイートのパンは膨らまないかの実験をした結果、焼成が終わった段階では次のような結果になりました。

パルスイートの3本のパンの中で一番膨らんで焼き色が付いて砂糖のパンに近いのは①「モルト有・発酵時間延長有」のパンでした。

一方、膨らみが最も悪く、焼き色も悪いのは「③モルト無・発酵時間延長無」のパンです。

そして「②モルト無・発酵時間延長有」のパンは、膨らみましたが焼き色が付きませんでした。

味

砂糖10％のパンと砂糖の重量の1/4のパルスイート2.5％のパンのお味を比べてみると、パルスイートのパンは甘味が薄く感じました。

砂糖と同じくらいの甘さを出すにはパルスイートの分量をもっと増やす必要がありそうです。

パルスイートのメーカーの味の素株式菓子会社が次のように指示をしています。

ドライイーストをご使用される場合は、「パルスイート®」（顆粒）を砂糖のかさの３分の１、重さの４分の１の量（通常通り）に置き換えてご使用ください。
引用元https://www.ajinomoto.co.jp

どれくらいパルスイートを入れると甘みを感じるのか、次の条件でパンを焼いてお味を確かめることにしました。

この条件で焼いたパンは次の結果になりました。

全てのパンにモルトは入れていないので、やはり砂糖10％のパンが一番膨らんでいますね。

さてお味はどうでしょうか。

パルスイート10％のパンは砂糖10％のパンよりはるかに甘く感じました。

砂糖と同じ量をパルスイートに置き換えたので甘くなりすぎのようです。

砂糖5％パルスイート5％のパンは砂糖10％のものより若干甘味が強く感じます。

パルスイートの分量を加減しながらご自身の好みの甘さを探すと良いですね。

実証実験をして判明したパルスイートのパンが膨らまない原因

以上の実証実験の結果からパルスイートのパンは砂糖のパンに比べて膨らみにくいことが判明し、その原因はパルスイートが「糖類0」のためだと推測できます。

イーストは糖分を栄養として発酵するのですが、パルスイートにはイーストの栄養となる「糖分」がなく発酵しにくいのです。

赤字のブドウ糖や果糖をイーストは栄養として発酵をします。

が、アミノ酸からできているパルスイートは砂糖ではないので、ブドウ糖や果糖が含まれていません。

だからこそ、パルスイートは砂糖とは違って血糖値も上げないし虫歯にもならないので安心なのです。

パルスイートのパンが糖類０でもある程度膨らむ理由は次の２つが考えられます。

これら2つの麦芽糖が分解されてブドウ糖になるためイーストにある程度の栄養分を供給できるので、パルスイートのパンは糖類0でもある程度は膨らむのです。

還元麦芽糖水飴は普通の水あめと違ってカロリーが低く消化吸収されにくいですよ。

以上から、パルスイートのパンは糖分が０のため膨らみにくいのですが、ある程度膨らむのは小麦粉や還元麦芽糖水あめに麦芽糖が含まれているためです。

砂糖のパンを同程度に膨らませるためには次の対処法が必要です。

パルスイートのパンが膨らまない対処法

では、パルスイートのパンを膨らませるにはどのような対処法があるのでしょうか。

実験の時にあらかじめ条件を変えて数種類のパルスイートのパンを焼いて、砂糖と同じにパンを膨らませることに成功した結果から判明したのは次の２つの対処法です。

モルトを入れる

パルスイートのパンを膨らませる一つ目の対処法はモルトを入れる、です。

モルトとは麦芽を糖化して濃縮したものをいい、液状のものと粉末のものがあります。

そしてこのモルトをパンの材料として加えるとパンの発酵が促進され、パンが膨らみやすくなるのです。

発酵時間を延長する

パルスイートのパンを膨らませる二つ目の対処法は発酵を延長する、です。

パンはイーストに不備が無ければ、基本的に発酵時間を延長すれば膨らんできます。

発酵はこね上げ温度・粉の種類・パンチの有無・発酵温度などにもよって時間は前後しますので、一概には言えませんが、今回は①モルトを入れたパンは５分 ②モルトを入れないパンは10分延長しました。

発酵延長の目安は、砂糖のパンと同じくらいもしくはそれより高くなるまでですが、過発酵にならないように十分気を付けてくださいね。

パルスイートのパンはモルトと発酵延長で膨らみます

パルスイートのパンが膨らまない原因と対処法について解説をしてきました。

パルスイートには糖類が無いので何らかの対処を施さなければ確かに膨らみにくいことが実験の結果判明しました。

そこで、発酵の助けとなるはモルトです。

モルトを入れてかつ発酵時間を延長すれば、パルスイートのパンも砂糖のパンと同じに膨らみます。

またパルスイートのパンは焼いたときに焼き色が付きませんが、モルトを入れることによってパンの焼き色も付くのです。

パルスイートは、糖類０で低カロリーですので賢く使って膨らんだパンを焼いて美味しく召し上がってくださいね。