この記事では、冬にパンが膨らまない原因と対処法についてお伝えします。
合わせて、冬でもパンを膨らむパンを焼く工程別のコツについてもご紹介します。
冬になるとパンが膨らまないんです
そうですね、冬場のパン作りでは何の工夫もしないとそうなりがちですね。
私も冬はいろいろ工夫をしますよ。
パン作り歴27年パン教室を主宰して17年の講師の私が冬にパンが膨らまない原因と対処法と膨らむパンを作る工程別のコツについてお伝えしますね。
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冬にパンが膨らまない原因
冬にパンが膨らまない原因は次の2つです。
冬にパンが膨らまない原因は次の通りです。
気温が低い
冬にパンが膨らまない原因の一つ目は気温が低いです。
イーストは温度が低いと休眠状態になりますので、冬の気温が低いときはパン作りにかなり影響があります。
パンはイーストの発酵力のおかげで膨らみますからね
冬は気温が低いだけでなくパン作りに使う材料もすべて冷たくなっていますし、意外と忘れがちですが道具も人間の手も冷たくなっているのです。
それらすべての温度が下がっていると必然的にパン生地のこね上げ温度が低くなり、イーストの働きが鈍くなります。
そして結果的に冬のパンが膨らまなくなってしまうのです。
オーブンの発酵機能を使えば大丈夫でしょ?
たとえ発酵器やオーブンレンジの発酵機能を使ったとしても、発酵器にパンを入れる前の段階の「こね上げ温度」が低いと発酵に時間がかかりなかなか膨らみません。
そんなときにじっくりと発酵を待てれば良いのですが、発酵に時間を十分かけずに焼成してしまうと膨らまない小さいパンになってしまいます。
湿度が低い
冬にパンが膨らまない原因の二つ目は湿度が低いです。
冬は大気が乾燥して湿度も低くなります。
大気中の湿度が下がれば、当然パン作りの材料に含まれる水分も減って乾燥しがちです。
湿度の多いときと同じ水分量でパンを作っていては、パン生地が固くなってしまいます。
そしてパンをこねている間にもパン生地が空気にふれる時間が長いのでパン生地からどんどん水分が蒸発するのです。
特に手ごねは乾燥しがちですよ
そのまま水分調整をしないままパン作りを進めるとパン生地は固いままでその後の発酵や進み、結果的に膨らまないパンになってしまいます。
冬でもパンを膨らませるための対処法
冬でもパンを膨らませるための対処法は次の4つになります。
冬でもパンを膨らませるための対処法は次のとおりです。
暖房を入れる(温度対策)
冬でもパンを膨らませるための対処法の一つ目は暖房を入れるです。
部屋全体の温度を上げれば、必然的にその場にある材料や道具の温度も上がります。
パン作りに最適な室温は20~25℃です。
出来ればこの室温を保つように暖房を入れましょう。
そうすることでこね上げ温度も上がり発酵が順調に進んで膨らむパンになるのです。
暖房を入れると乾燥しがちなので気を付けてくださいね
パン生地のこね上げ温度を上げる(温度対策)
冬でもパンを膨らませるための対処法の二つ目はパン生地のこね上げ温度を上げるです。
冬に暖房を入れて室温を上げても、なかなかそれだけではパンが膨らむほどの効果が得られないことが多いです。
そんな時はパン生地にダイレクトに働きかけてこね上げ温度を上げましょう。
こね上げ温度を上げることは膨らむパンを作るにはかなり効果的な対処ですよ。
こね上げ温度は何度にすればいいんですか?
パンが膨らむためのこね上げ温度はパンの種類ごとに違いますがおおよその目安は次の通りです。
- ソフト系パン…28℃
- ハード系パン…23~25℃
この温度にするにはどうすればよいですか?
目指すこね上げ温度にするためには仕込み水の温度を調整します。
水温を求める簡易的な算式は次の通りです。
タイトル | 理想のこね上げ温度 | 水温算出のための簡易的計算式 |
ソフト系パン | 28℃ | 40℃-粉温度 |
ハード系パン | 23~25℃ | 35℃-粉温度 |
ちなみにもっと正確に水温を算出する場合は次の水温算出の計算式を用いて水温を算出します。
ご参考にしてみてくださいね。
水温=3×(こね上げ温度-摩擦係数)-粉温-室温
※摩擦係数…手ごねは-5℃~3℃、機械こねは6~10℃
私の場合は手ごね3℃、機械こねは8℃として計算をしています。
湿度を上げる(湿度対策)
冬でもパンを膨らませるための対処法の三つ目は湿度を上げるです。
冬の外気の平均湿度は50%と言われていますが、屋内で暖房を使用すると湿度は一気に下がって30%くらいに乾燥してしまいます。
一方パン作りに最適な湿度は50~70%です。
冬にパンが膨らまない原因に乾燥がありますが、その乾燥対策として湿度を上げましょう。
加湿器を使って部屋全体の湿度を上げるのが簡単ですが、鍋ややかんで湯を沸かして湯気を立てるのも効果的です。
仕込み水を増量する(湿度対策)
冬でもパンを膨らませるための対処法の四つ目は仕込み水を増量するです。
乾燥のひどいときは湿度を上げるだけではパン生地の乾燥を防げない時もあります。
そんな時はこねる時に使う「仕込み水」を1~2%増量させます。
発酵して膨らむ冬のパンを作る工程別のコツ
冬でも膨らむパンを作る工程別のコツは次の7つになります。
発酵して膨らむ冬のパンを作る工程別のコツは次の通りです。
メニュー
冬でも膨らむパンを作る工程別のコツの一つ目はメニューに関するコツになります。
冬はパンが膨らみにくくなりますので、それを前提にパンのメニューを考えてもよいですね。
例えばどんなパンが良いですか?
食パンのような大きなパンは冬はより一層膨らみにくいので、50gくらいの生地に分割をして小型の丸めパンにすると発酵が少しは早くなります。
また、膨らまなくても大丈夫なピザにするのも簡単ですね。
そして初心者の方にはちょっと難しいですが、クロワッサンやデニッシュのようなバターを折り込む生地はバターが解け出ないように冬に作るのが良いとされています。
材料
冬でも膨らむパンを作る工程別のコツの二つ目は材料に関するコツになります。
材料を工夫するのは材料の温度を上げることです。
材料がすべて冷たいと、こね上げ温度が必然的に低くなります。
冬は仕込み水に適温の湯を使ったり、バターを室温に出しておいたり、材料を冷たすぎないように工夫して膨らむパンを作りましょう。
こね
冬でも膨らむパンを作る工程別のコツの三つ目はこねに関するコツになります。
こねる時にこね台の素材が大理石の場合はパン生地がより冷えてしまいますので温かいタオルをこね台の上に置いて一度温めてから使うと良いですね。
またパンをこね終わったときは必ずこね上げ温度を計ってメモしておきましょう。
なかなか理想のこね上げ温度になりません
こね上げ温度が理想とずれていたら発酵時間を延長して十分発酵する必要があります。
一次発酵
冬でも膨らむパンを作る工程別のコツの四つ目は一次発酵に関するコツになります。
理想のこね上げ温度にならなかった場合、実際のこねげ温度と理想の温度の差を把握しましょう。
そしてこね上げ温度が低かった時は、一次発酵の時間を延長して十分な一次発酵をしてください。
一次発酵が不足するとその後いくら頑張ってもパンは膨らみにくいです
一次発酵は乾燥や低温を防ぐために発酵器やオーブンの発酵機能をお使いになるのが一番楽だと思いますが、無い場合は発泡スチロール製の箱などに湯を入れたコップなどを置いて一定の温度と湿度を保てるように工夫するとよいですね。
ベンチタイム
冬でも膨らむパンを作る工程別のコツの五つ目はベンチタイムに関するコツになります。
ベンチタイムは一次発酵や二次発酵ほど時間が長くありませんが、冬場は特に乾燥しやすいです。
私は番重に入れてベンチタイムを取りますが、皆様はご家庭に有るものを使ってやりやすい方法でベンチタイムをとりましょう。
①番重を使うベンチタイム
②パンマットと布巾を使うベンチタイム
③ビニール袋を使うベンチタイム
また、パン生地のこね上げ温度が低かった場合や室温が低いときは、パン生地の張りが緩むのに時間がかかるので様子を見てベンチタイムの時間を5分延長しましょう。
ベンチタイムをしっかりとると成形もしやすく二次発酵も膨らみやすくなります
成形
冬でも膨らむパンを作る工程別のコツの六つ目は成形に関するコツになります。
冬は成形をしている間もパン生地が乾燥したり冷えたりするのです。
よって一つのパン生地の成形の作業をしている間、他のパン生地は乾燥したり冷えたりしないように、パンマットを掛けておきましょう。
二次発酵
冬でも膨らむパンを作る工程別のコツの七つ目は二次発酵に関するコツになります。
冬はこね上げ温度も低くなりがちでそうなると二次発酵にも時間がかかるケースが多いです。
こね上げ温度って二次発酵まで影響するんですか?
そうなんです。
こね上げ温度が高ければ二次発酵は早く進み、こねげ温度が低ければ二次発酵はゆっくり進みます。
なので冬は二次発酵に時間がかかりがちです。
この場合発酵温度を無理やり上げるのではなく、時間を延長してパン生地が十分発酵するのを待ちましょう。
冬でも膨らむパンを焼きましょう
冬は外気温が低くいのでパン作りとっての適温とは言えず、そのためなかなか膨らんだパンが焼けない、というお悩みを本当によく耳にします。
でも、その膨らまない原因は「乾燥」と「低温」ですので、適切な湿度と温度を与えれば冬でも膨らむパンを焼けるんです。
パン作りの工程ごとに乾燥を低温を防止するコツがありますのでそのコツをつかんで冬でも膨らむパンを焼きましょう。
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