こちらの記事では、パン作りの工程の一つである「丸め」の方法をご紹介します。
「パン作りの丸め」はパンを丸くすることではありません
成形をやりやすいように形を整えてパン生地の表面を張らせる作業が「丸め」なので、どんなパンを作るかによって「丸め」の形は変わってきますよ。
ここではパンの種類ごとに4つの方法に分けそれぞれ説明をしましょう。
その4つの方法は次の通りです。
私が作るパンの種類のところだけ見ればいいんですね!
そうですね、一番左の「パンの種類」の青い文字をクリックすれば該当にジャンプしますよ。
パンの種類 | パンの例示 | |
ソフト系の小型パン | バーガーパン | あんぱん クリームパン メロンパン など |
ソフト系の大型パン | イギリスパン | 食パン シナモンロール など |
ソフト系の長く伸ばすパン | ウインナーロール | ロールパン ツイストパン ウインナーロール コルネ など |
ハード系のパン | プチバゲット | バゲット エピ バタール カンパーニュなど |
パン作り歴27年パン教室を主宰して17年の講師の私が、パン作りの丸めの方法とコツについて、パン作り初心者の方にもわかりやすくお伝えします。
フランスの専門学校ル・コルドンブルー卒業、製パンクラス上級デュプロムの資格を持っています
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パン作りの丸めの意味と丸める理由
まず最初にパン作りの丸めの意味と効果について説明しますね。
パン作りの丸めとは、成形をやりやすいように形を整えて、パン生地の表面には適度な張りを出す作業をいいます。
よってパンの種類によって丸めの形も変わってくるのです。
パン作りの丸めと聞くとパンを丸めることと思いがちですが、パンは丸い形にしなくてよいのです。
四角っぽい丸め、三角っぽい丸めもありますよ
パンを丸める理由は、次の効果を得るためです。
- 分割で分断された断面を他の部分の生地と均一な状態にする
- ガスが抜かれて新鮮な酸素が取り込めるのでイーストが元気に活動できるようになる
- ベンチタイム中に発生するガスを逃さずに内包できる
- 成形しやすくなる
これらを達すことができれば、「丸め」は丸くなくて良いのです。
パン作り丸めの4つの方法とコツ
パン作りの丸めにはいろいろな方法がありますが、パンの種類によって大きく次の4つに分けられます。
(さきほどと同じ表ですよ。念のためここでもう一度記載しておきますね!)
丸めの方法の種類 | パンの例示 | |
ソフト系の小型パン | スイートブール | あんぱん クリームパン メロンパン など |
ソフト系の大型パン | イギリスパン | 食パン シナモンロール など |
ソフト系の長く伸ばすパン | ウインナーロール | ロールパン ツイストパン ウインナーロール コルネ など |
ハード系のパン | ミニバゲット | バゲット エピ バタール カンパーニュ など |
パン作りの丸め方は次の通りです。
ソフト系の小型パン
パン作り丸めの4つの方法のうち、1つ目はソフト系の小型パンについて。
私の好きなメロンパンはソフト系の小型パンの丸めね
では詳細を見ていきましょう。
ソフト系の小型パンの丸めは次の通りです。
丸め方
極軽く打ち粉を振った台に
生地の綺麗でない面を上に向けて置きます。
手で生地を軽く押して適度にガスを抜きます。
綺麗でない面を内側にして二つ折りして立てます。
指先を丸めて
右手の場合は反時計回り、左手の場合は時計回りに
パン生地をくるくる回して丸めます。
丸めが完了した状態です。
裏側はきれいに閉じられていなくてもOK!
適切に丸められた生地は、生地に荒れがなく表面に適度な張りがあります。
丸め方のコツ
ソフト系小型パンの丸め方のコツには次のものがあります。
- 手を「猫の手」のようにして爪先を内部に入れ込むようにする
- 爪を台に着けたままパン生地を回転させる
- パン生地の回転は一方向とする
丸める作業に慣れないと、手の中でパン生地が前後左右そして上下にもグルグルと不規則に動きがちです。
YUKAさん、泥団子丸めてるんじゃないんだから
そんなグルグルしないの~
球状になったパン生地を地球に例えると、丸めの作業の間は北半球と南半球が入れ替わりません。
丸めた生地の良い例と悪い例
次に丸めの良い例と悪い例をご紹介します。
②が適度な張りがある良い丸めです。
③は丸めの力が弱すぎて緩んでいます。
①はパン生地が破れて生地荒れとなっている状態です。
なんかベタベタしてきたと思ったら生地が破れました~!
先生、なんとかしてください~!
①を近くで見るとこんな感じです。↓これは修復不能です。
生地が破れているとそこから、炭酸ガスが抜けてしまって膨らまず、その後の成形も上手くいきません。
パン生地が荒れないように丸めることが大切です。
こちらの記事↓に詳細をご説明していますので是非ご覧ください。
丸めが上手にできないときの方法
片手で100g以下の小さなパン生地を丸めることを「小型パンの丸め」と言います。
「小型パンの丸め」は他に
「小の丸め」と呼ばれることもあるんです
片手で小型パンの丸めが難しい時は次の方法で丸めることができます。
この丸め方を知ると、小型パンの丸めの作業もイメージしやすくなって上手になると思います。
画像①
綺麗でない面を上に向けるのがポイントよ!
画像②
引っ張ってくっつける感じね。
簡単簡単♪
画像③
1か所じゃだめよ
何回かに分けて閉じてね
画像④
そうそう、そんな感じ♪
画像⑤
小籠包みたい!
このまま食べられそうだわ♪
YUKAさんたら~
綴じ目は下にしてちょうだい、一応パンなんだから
画像⑥
適度な張りがあってとっても上手ですよ♪
ソフト系の大型パン
パン作り丸めの4つの方法のうち、2つ目はソフト系の大型パンについて。
食パン等の大きなパン生地の丸めは「引き丸め」という方法で行います。
引き丸めとは、大きなパン生地を綴じ目を下にした状態で両手で手前に短い距離を引いて生地の表面を張らせる方法です。
引き丸めは
「大型パンの丸め」とか「大の丸め」とかも言います
ソフト系大型パンは次のように丸めましょう。
ソフト系大型パンの丸めは次のように行いましょう。
ソフト系大型パンの丸め方
軽く打ち粉を振った台に
一次発酵を終えたパン生地を容器を伏せて取り出します。
両手で軽くガスを抜きます。
真ん中1点に向かって
パン生地の外周を数回に分けて集めてきます。
生地全体を折り込んだ状態です。
ひっくり返して生地を少し手前に引きます。
少しずつパンを動かして数回「引き丸め」を行います。
表面の生地が張った状態です。
パン生地の大きさが違うので丸め方が違いますが、小型パンの丸めをしたのと同じ状態になります。
ソフト系大型パンの丸めのコツ
大型パンの丸め方のコツは次の通りです。
- パン生地を中央に集める時にパン生地を軽く引っ張るようにする。
- 引き丸めの時に指先を重ねる
ソフト系の大型パンの丸め方は次のように丸めます。
生地が張ったらOK!
やりすぎはダメですよ
丸めた生地の良い例と悪い例
ソフト系の大型パンの丸めた生地の良い例と悪い例は、「ソフト系の小型パン」と同じですので、そちらをご覧ください。
ソフト系の長く伸ばすパン
パン作り丸めの4つの方法のうち、3つ目はソフト系の長く伸ばすパンについて。
長く伸ばすパンには編みパンやコルネ等があります。
これらのパンは、丸く丸めるより長めの形にする方がその後の成形がしやすいです。
丸め方は次の通りです。
軽く打ち粉を振った台に
綺麗でない面を上に向けて置き
そっと手で押さえて軽くガスを抜きます
下から1/3折り、上から1/3折って重ねます。
綴じ目を下にして楕円に形を整えます。
先生、潰すのが楽しくて
がっつりガス抜いちゃいました~
これから長く伸ばすのに、そんな事したら伸ばしにくいですよ・・・
ハード系のパン
パン作り丸めの4つの方法とコツのうち、4つ目はハード系パンについて。
丸め方は次の通りです。
極軽く打ち粉を振った台に
綺麗でない面を上に生地を置きます。
手で軽くパン生地を押さえてガスを抜き
下から1/3、手前から向こう側へ折ります。
もう一度向こう側に折ります。
向こう側に両手を添えて少しだけ手前に引きます。
こうすることで生地が張るのです。
ハード系パンの丸めが終わった状態。
ハード系パンの丸めはガスは抜くというより生地の表面を張らせる気持ちで丸めましょう。
パン作り丸めの注意点
パン作りの丸めをする際に次のことに注意をする必要があります。
では具体的な内容をお伝えします。
打ち粉を振り過ぎない
パン作り丸めの注意点として、打ち粉を振りすぎないようにしましょう。
打ち粉を振りすぎると丸めるときにパン生地が滑って上手に丸められません。
パン生地を丸める時に台やパンマットがある程度ストッパーの役目を果たし、パン生地が滑らないように止めくれて
その結果生地が張るのです。
今日は打ち粉を振りすぎてパンがすべっちゃったけど、
多分次回は大丈夫!
打ち粉の振りすぎに注意が必要です。
丸めた生地は移動可能な板等の上に乗せる
パン作り丸めの注意点として、丸めた生地は移動可能な板等の上に乗せましょう。
丸めの工程のあとにはパン生地が乾燥しない場所でベンチタイムをとってパン生地を休ませる必要があります。
その時に丸めの作業台に置きっぱなしではパン生地を移動しにくいです。
丸める都度、移動しやすい板の上に乗せていくと作業効率がよくなります。
丸めができたらベンチタイムを取りましょう。
パン作りの丸めは丸くすることではない
パンの丸めとは、パン生地の表面を適度に張らせる作業のことをいいます。
丸めはパンを丸くすることだと思っていました
表面を張らせるために、分割時にスケッパーで切った切断面をつるっとした綺麗な生地で覆って中に入れ込みます。
その丸め方はパンの種類によってやり方が変わってきます。
どのような成形をするかによってふさわしい丸め方があり、それは必ずしも丸い形ではありません。
綺麗な成形のために、適切な丸めをしましょう。
また、丸めはパン生地が荒れないように丸めるのが大事です。
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