本記事ではパン作りの焼成方法をお伝えいたします。
ソフト系のパンとハード系のパンは食感が全く違いますが、その食感に最も大きな影響を与えるのが焼成方法です。

スチームを入れるかどうかでかなり違いますよ。
正しい焼き方をしないとソフト系はソフトに、ハード系はハードに仕上がりません。
焼成方法をソフト系パンとハード系パンに分けて詳しくご紹介しますね。
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ソフト系のパンの焼成方法

ソフト系のパンの焼成方法は次のような手順でおこないます。
ソフト系のパンの焼成方法は次のとおりです。
オーブンの予熱する
パンを焼く前にはオーブンを温めておきます。
ソフト系のパンの場合の予熱温度は、パンを焼く温度でOKです。
予熱をしないでパンを焼き始めると火が通るまでに時間がかかり、パサパサな食感になってしまいます。
卵を塗る
二次発酵が終わったらパン生地に卵を塗ります。

ナッツなどのトッピングをするときは、卵を塗ったあとですよ
パン生地に卵を塗るのはパンの表面に艶を出すためです。

卵を塗るときは全卵を良くときほぐし、ハケにたっぷり卵液を付けたあとボウルの淵で卵液を良く切ってから塗ります。

卵にハケで塗るときはハケの部分を寝かせるようにして塗りましょう。
時折、レシピに卵を塗るか否か書いていないときがあります。
その時はどのようなパンを作りたいかで、卵を塗るかどうかを決めると良いですね。
オーブンに入れる
温まったオーブンにパンを置いた天板を入れます。
天板の位置を入れ替える
焼き時間が7割くらい過ぎたところで天板が2枚以上あるときは上下を入れ替えます。
また左右を反転して均等に焼けるように天板を動かして調整してください。
オーブンの中は火当たりが均一ではなく、そのまま焼き続けると焼きムラができるためです。
焼きあがったらショックする
パンが焼きあがったらオーブンから即座に出します。
そして、すぐに天板ごとトン!と台の上に落としパンに衝撃を与えてください。
これは、パンの内部の熱気と外の空気が一気に入れ替わることを目的としています。

これが「ショックする」ですね
ショックには、パンが冷めたのちに表面にシワが寄ることやケービング(パンの横側がくびれてしまうこと)を予防する効果があります。
型から外す
型に入れて焼いたパンはすぐに型から外して冷まします。
すぐに型から外さないと、熱気が型の内部にこもりパンが湿ってしまうのです。
これでソフト系のパンが美味しく焼きあがりました!
ハード系のパンの焼成方法

ハード系のパンの焼成方法は次のような手順でおこないます。
ハード系のパンの焼成方法は次の通りです。
オーブンと天板等の予熱する
ハード系のパンを焼くときは事前に次のものを250~300℃で30分間温めます。
- オーブン庫内
- 天板
- レンガまたは陶板、鉄板など
(霧吹きで蒸気を入れるとき、オーブンのスチーム機能を使うときは不要)
ハード系のパンはあらかじめ天板を予熱することで、窯伸びが良くなり気泡が綺麗に入り焼き色もよくなるのです。
また、レンガや陶板、鉄板を予熱するのは、パンを焼く時にこれらのものに水をかけてスチームをたてるためです。

ハード系はスチームを入れることでパンの表面を固くします
布から天板に移す
ハード系のパンを、発酵中の布やカゴから予熱した天板に移動します。
バゲットのように長いパンとカンパーニュのように丸いパンでは、天板に移す方法も違います。
詳細はパンの焼成のコツをご覧ください。
粉を振る
パンを布やカゴから熱した天板に移したあと、茶こしなどで粉(強力粉)をパンに振ります。

粉を振る理由は、次の通りです。
- クープを入れやすくする
- 高温で焼き上げるためパンが焦げるの防ぐ
- 美味しそうに見える
粉は強力粉のことが多いですがパンによってはライ麦粉や上新粉を使うこともあります。
クープを入れる
粉を振った後はパンに「クープ」と呼ばれる切り込みを入れます。

パンにクープを入れる理由は次の通りです。
- パンがクープのところから膨らむ
- クープからパンの水分が蒸発して火どおりがよくなる
- 美味しそうに見える

クープは1本で入れたり、数本入れたりまたカンパニューのように十字に入れたりするものもあります。

オーブンにパンを入れる
予熱温度(250~300℃)に到達したオーブンにパンを置いた天板を入れます。
オーブンにスチームを入れる
オーブンにパンを入れたら速やかに、オーブンの中にスチームを充満させます。
オーブンにスチームを入れる方法は次の3種類です。
- 陶板などを熱して使う ※
- 霧吹きを使う
- オーブンのスチーム機能を使う
※100㏄程の水を平らなトレイなどに入れて、熱したレンガや陶板、鉄板などに掛けて蒸気を立てます。
パンが上手に焼けるという観点で、一番推奨したいのがこの陶板などに水を掛けるやり方ですが、電気系統保護のため構造上不可能なオーブンも多いようです。

私のオーブンにはスチーム機能が無いです!
もし、霧吹きを使ってスチームの効果を狙う場合は、パンには直接霧を吹かず、オーブンの庫内全体に切りがまわるようにします。
どの方法でスチームを入れるかはご自宅のオーブンの状態を見て決めましょう。
なおスチームを入れる効果は次の通りです。
- パンのクラスト(表皮)がパリっとする
- パンにボリュームがでる
- 色付きが良く艶のあるパンになる
- クープが綺麗にひらく
ハード系のパンにスチームを入れることは必須となります。
焼成温度に設定し直す
オーブンの予熱温度が焼成温度と違う場合は、焼成温度に設定をし直します。
ハード系のパンはスチームの関係で予熱温度の方が高いことが多いです。
そのまま焼き続けては焦げてしまいます。
天板の位置を入れ替える
焼き時間が7割くらい過ぎたところで天板の位置を入れ替えます。
オーブンの中は火当たりが均一ではありません。

天板を入れ替えないと焼きムラがでてしまうのよね
天板が2枚以上あるときは、上下を入れ替えましょう。
また、左右を反転して均等に焼けるように天板を動かして調整します。
焼きあがったらショックする
パンが焼きあがったらオーブンから即座に出し、天板ごとトン!と台の上に落としパンに振動を与えます。
この作業が「ショックする」です。
こうすることによってパンの内部の熱気が一気に外に出て、パンが冷めたのちにシワが寄りにくなります。
パンの焼成のコツ

これまで、ソフト系とハード系に分けて焼成方法の基本をお伝えしてきました。
次に、パンの焼成のコツをお伝えします。
このコツを押さえてパンを焼くとより美味しくパンを焼くことができるのです。
パンの焼成時のコツは次の通りです。
ソフト系のパン

ソフト系のパンを焼くときには次のようなコツがあります。
- オーブンの温度が上がるための時間を見込んで予熱を開始する
- 卵を塗るとき、ハケの根元の付近を持つ
ソフト系のパンの焼成時のコツをつかんで、フワフワのパンを焼きましょう!
ハード系のパン

ハード系のパンを焼くときには次のようなコツがあります。
ハード系のパンの焼成のコツは次の通りです。
早めにオーブンのスイッチを入れる
ハード系のパンを焼くときにオーブンを予熱するコツは、30分の予熱時間を考えて早めにオーブンのスイッチを入れることです。
発酵がそろそろ終わるかしら、というときにオーブンを温め始めても、間に合いません。

この前、予熱をあまりしなかったらスチームが立ちませんでした
また、天板が熱くないとパンが上に伸びずのっぺりしてしまいます。
移し板を使う
バゲットのように長い成形のパンを移動するときは、「移し板」を使います。

バゲットのように長いパンを移動するときのやり方は次の通りです。
- パンを布の空いているところに移し板を使ってコロンと転がす。
- ひっくり返ったパンを今度は布を使って移し板に乗せる。
- 移し板から熱した天板にパンを置く。


発酵かごはゆっくりシートに伏せる
カンパーニュのようなパンを発酵かごからパンを天板に移動するときのやり方は次のように行います。
- 発酵かごにオーブンシートを被せる
- カゴを手のひらの上でゆっくり返す
- シートごと天板におく




発酵カゴは発酵に使う道具で、焼成の時は外しますよ
クープナイフを使う
クープを入れるときはクープナイフを使います。

クープ専用に作られたナイフで刃が薄く、また持ちやすいのでクープを綺麗に入れることができます。

私は替刃式のクープナイフを使っています
クープはためらわずに入れる
クープを入れるときはクープナイフを手前に45℃傾けて、ためらわずに一気に引ききるのがポイントです。
パンの焼成の注意点

パンを焼成するときには、いくつかの注意点があります。
ソフト系のパン

ソフト系のパンを焼くときは次の点に注意しましょう。
- パンに卵を塗るときにハケの先端でパンをつっつかない
- オーブンに入れる時に霧は吹かない

私はよく、卵を塗っていては毛の先でパンをつついてしまいます
ハード系のパン

ハード系のパンを焼くときの注意点は次の通りです。
- オーブンや鉄板の予熱を忘れない
- スチームを入れ忘れない

予熱やスチームを忘れるとリカバリーできませんよ
またパンの焼成は、その前の工程の二次発酵が適正に行われていないと上手にパンを焼くことができません。
焼成が上手くいかないときは、二次発酵の方法も確認してみましょう。
パン作り二次発酵の方法|時間と温度・湿度の目安と発酵の見極め
パンの焼成方法はスチームがポイント!
パンの焼成方法はソフト系のパンとハード系のパンとでは違いがあります。
その大きな違いはスチームで、ソフト系のパンにはスチームを入れず、ハード系のパンにはスチームを入れなければなりません。
それぞれに合った焼成方法で焼くことでふわふわのパンにもなり、またハードなパンにもなります。
ソフト系のパンとハード系のパンは焼き方を変えてみましょう。
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